白夜行



 

作品の概要

 

 
白夜行

1999年8月5日 初刊行(集英社)
2002年5月17日 文庫化(集英社文庫)

 

1973年、大阪。
建築途中の廃墟ビルで質屋「きりはら」の店主・桐原洋介が殺された。
質屋の常連客・西本文代に容疑がかかるが、決定的な証拠がない。
そんな中、西本文代がガスによる事故死を遂げてしまい、
事件は解決しないまま迷宮入りを迎えてしまう。

被害者の息子・桐原亮司と容疑者の娘・西本雪穂は、
共に幼くして親を亡くしてしまうという境遇の元、別々の人生を歩んで行く。

暗く感情のない目をした亮司と、並外れた美貌をもった雪穂。
彼らの周辺では次々と不可解で恐ろしい事件が起こるが、
真相は闇のまま。

決して交わらず、陽の当たることがない2人の主人公の
悲しく切ない人生を描いた長編最高傑作。

補足情報

第122回直木賞候補作。
1999年8月5日 初刊行(集英社)
2002年5月17日 文庫化(集英社文庫)
2006年 山田孝之、綾瀬はるか主演でドラマ化(TBS系)
2011年 堀北真希主演で映画化

登場人物

桐原亮司
被害者の息子。実家は質屋「きりはら」を営む。
幼少の頃から感情がなく、暗く沈んだ瞳をしていた。
主婦売春の斡旋をはじめ、ゲームソフトの偽造、銀行のキャッシュカードの偽造などの裏家業にに乗り出す。
切れ者で冷静沈着、パソコンのソフトウェアの知識はプロ級。

唐沢(西本)雪穂
小学生時代は母親と二人で貧しい暮らしを強いられる。
母親の死後、唐沢家の養女となり、女性としての魅力を身に付けていく。
彼女の人並み外れた美貌ゆえ、妬みも多くあった。
彼女に関わると必ず何らかの不幸に遭ってしまう。

笹垣潤三
大阪府警・捜査一課の刑事。
質屋殺しの事件を担当するが、
亮司と雪穂の周りで起きる不可解な事件に疑問を持ち、二人を追い続ける。

桐原洋介
質屋「きりはら」主人。何者かに殺害され、廃墟ビルにて発見される。
息子をよくかわいがっていた一方である「秘密」を持っていた。

桐原弥生子
亮司の母親。
洋介の死後は喫茶店を経営して、なんとか生計を立てている。
亮司に母親らしいことができなかったことを自覚している。

松浦勇
質屋「きりはら」の雇われ店長。
店を任され、桐原家の内情をよく知る人物。
その後、海賊版ゲームソフトのブローカーとして亮司の前に現れ、仕事を依頼する。

西本文代
雪穂の生みの親。質屋殺しの容疑がかかった直後に自宅でガス中毒事故で死亡したが・・・。

唐沢礼子
雪穂の親類。雪穂を養女として引き取り、礼儀作法を厳しく教え、娘として育てていく。

川島(手塚)江利子
中学時代からの雪穂の親友。雪穂に魅かれ、行動を共にする。
大学で同じサークルの男性と恋付き合うようになるが、その直後に残忍な出来事に巻き込まれる。

園村友彦
亮司の高校時代からの同級生。
あるトラブルがきっかけで、亮司に大きな借りを作る。
その後亮司のカード偽造などの裏稼業を手伝うことになる。プログラムが得意。

篠塚一成
大手製薬会社御曹司。大学時代はソシアルダンス部の部長を務める。
雪穂を初めてみたときから底知れぬ恐れを感じるが・・・。

高宮誠
電気部品製造会社所属。ダンス部時代に雪穂と知り合う。

今枝直巳
探偵事務所を経営している。篠塚一成からの雪穂の調査を依頼される。
雪穂を調べていく内に桐原亮司に辿り着くが・・・。

感想

この作品は東野圭吾さんの中でも「最高傑作」との呼び声が最も高く、
好きな作品1位に選んでおられる方も多くいます。

800ページオーバーのボリュームもさることながら、
作品全体がもつ、独特の雰囲気に多くの人は飲み込まれるでしょう。

質屋殺しから始まり、実に19年の歳月が流れます。

それぞれの章で、いろいろな事件が起こりますが、
それらははっきりと作品の中で真相が明かされることはありません。
その結末や真相は読者の想像に任せるといった手法が取り入れられています。

各章が複雑に絡み合い、伏線が繋がったときは、
思わずため息が出て鳥肌が立ってしまいます。

また、白夜行の特徴としてあげられるのは、
主人公2人の内面描写が一切排除されているという点です。

各章にはかならずどちらかが絡んできますが、
他人目線で語られていきます。

新しい章に入る時は、新しい人物が出てくるので、
少なからず混乱します。

この作品は1度読んだだけで全てを理解することはまず不可能でしょう。
私も数回読みましたが、その度に新しい発見があります。

この作品が持つ、暗くて切ない雰囲気は最後まで
すっきりすることはありません。

ラストを読み終えても、重たいものが体の中に溜まっているような
感じを受けます。
重く切なく、苦しいのですが、のめり込んでしまうのです。

いわゆる「東野ワールド」と呼ばれ、各方面から絶賛される超大作、
1度だけではなく、2度3度と読んでいただきたい作品です。

おすすめ度:★★★★★★★★★☆



タグ


2011年2月15日 | コメント/トラックバック(6)|

カテゴリー:本の感想

トラックバック&コメント

この投稿のトラックバックURL:

トラックバック

コメント

  1. キリン より:

    タイ人のキリンです。

    日本にいる間、この白夜行の小説を目にしましたが、結構分厚いので、読む自身がなかったんです。

    帰国してから、出版会社からの頼みがあって、白夜行の内容は何についての話なのかを調べて欲しいと。大体の内容を読み、「ああ、面白い!」って思ったのですが、やはり日本語版では読めないかな!結局読まなかったです。

    やっと今年の年始、タイ語に翻訳され、発売されましたので、早速手に入れました。
    タイ語版の方は分厚いなんですけど、母語なので安心に読める!

    生まれてから今までこんなに長い時間をかかって、本を読むことがありませんが、今回だけは初めてです。

    分厚いせいか、複雑な話なのか、分からないですけど、読み終わったら、気持ちは一緒に終わらないのです。

    登場人物が多くて、大事な役もあるし、必要のない役もあると思いますが、これは東野圭吾さんのわざと罠を仕掛けたのだろう!!
    素晴らしい小説構成として私は尊敬します。

    今はドラマ化も映画化もしたんですけど、どっちでも見ていませんが、たっぷり時間あるときに見ようと思います。

    • RYOJI より:

      キリンさん
      コメントありがとうございます。
      「白夜行」ほど暗くて重い作品はないでしょうね。
      そして一度読んだだけでは、たぶん完全に理解はできないだろうとも思います。
      何度読んでもその度に違った感想があります。
      ドラマ版は原作とは別物と割り切った方が楽しめます。
      映画版は原作に近いと聞きましたが、まだ見ていません。
      楽しみにしています。

      • キリン より:

        この間、百夜行のドラマ化を見ました。
        第一話だけで、涙が止まらないのです。
        二人の子供の俳優さんが演技が凄いですね。
        特に、●●●のシーンで僕がショックし、思わず涙ボロボロでした。(本を読んでたのに!)

        やっぱり小説では、二人の主人公の行動があまり説明しませんが、ドラマでは逆で主人公の行動をメインにしたわけですね。このドラマを見てよかったです。何か二つの小説も読んだ感じですね。

        映画化の方もあるそうですね。見てみたいですけど、タイでは探せるのかな?

        ※一部ネタバレを含んでいましたので管理人の判断により伏字にさせていただきました。

        • RYOJI より:

          キリンさん
          コメントありがとうございます。
          白夜行はドラマと原作では大きく異なりますね。
          原作を忠実に再現するのはちょっと難しいんでしょうね。
          僕は原作は何度読んでも飽きません。

  2. かりゆしまや より:

    こんばんは
    今日の朝ごはんはホットドッグでした。
    ふと思い出して、今枝さんが食べていたホットドッグの再現です。
    ただ、トシなのでキャベツは炒めず、レンジでチン。
    太いソーセージではなく、普通の太さ。
    ドッグ用のパンは軽く焼いて。
    コーヒーは苦手なので紅茶で。
    美味しかったです。
    東野作品って、けっこう再現してみてるメニューがあるんですよね。
    ハヤシライスもそのひとつです。

    • RYOJI より:

      かりゆしまやさん
      コメントありがとうございます。
      僕も再現してみようかな。美味しそうですね!
      ハヤシライスはレシピ欲しいですよね~^^


かりゆしまや にコメントする

このページの先頭へ