犯人のいない殺人の夜



 

作品の概要

 

 

犯人のいない殺人の夜

 

1990年7月 初刊行(光文社)
1994年1月 文庫化(光文社文庫)

 

「小さな故意の物語」 「闇の中の二人」 「踊り子」 「エンドレス・ナイト」 「白い凶器」 「さよならコーチ」 「犯人のいない殺人の夜」の7編からなる短編集。

親友が校舎の屋上から転落して死んだ。様々な状況から事故か自殺の可能性が高いと判断された。しかし親友の突然の死にどうしても納得できない「俺」は独自に調査し、意外な事実を突き止めるが…。(「小さな故意の物語」より)

全ての作品に予想だにせぬ驚愕の真相が待ち受ける傑作推理短編集。

補足情報

1990年7月 初刊行(光文社)
1994年1月 文庫化(光文社文庫)

主な登場人物

【小さな故意の物語】

中岡 良:高校三年生。サッカー部員
行原達也:良の親友。校舎の屋上から転落死する。
佐伯洋子:高校三年生。行原達也の恋人
笠井美代子:高校二年生。英会話部員

【闇の中の二人】

永井弘美:中学校の教師。萩原信二の担任。
萩原信二:中学三年生。
萩原啓三:信二の父親。会社の重役
萩原麗子:啓三の妻。信二の継母
中西幸雄:萩原啓三の部下

【踊り子】

孝志:中学三年生。受験勉強に明け暮れる。
良子:孝志の母親
黒田:孝志の家庭教師で大学生
踊り子:毎週水曜日に、S学園の体育館で新体操をしている少女

【エンドレス・ナイト】

田村厚子:主婦。洋裁学校の講師をしている。
田村洋一:厚子の夫。大阪で単身赴任をしていたが、遺体で発見される。
田村一彦:洋一の長兄でアパレル産業の経営者。
田村宏明:洋一の次兄。
番場:大阪府警の刑事

【白い凶器】

安部孝三:A食品株式会社の材料課課長・会社で転落死する。
佐野:A食品株式会社の材料課係長。
森田:A食品株式会社材料課の課員。
中町由希子:A食品株式会社材料課の課員。
中町洋一:由希子の夫。交通事故で死亡。
中町伸治:洋一の実弟。

【さよならコーチ】

私:アーチェリー部のコーチ
望月直美:アーチェリー部の部員。部室で遺体となって発見される。
陽子:私の妻。

【犯人のいない殺人の夜】

拓也:岸田隆夫の家庭教師
岸田創介:有名建築家
岸田時枝:創介の妻
岸田正樹:創介の息子。大学生
岸田隆夫:創介の息子。高校生。
雅美:隆夫の家庭教師。
安藤由紀子:行方不明になる。
安藤和夫:由紀子の実兄。
高野:事件の担当する刑事。

感想

【小さな故意の物語】

犯人が分かった時、「あれ?これで事件解決?」と思ってしまいました。
最後にそう来ましたか。
悲しくて切ない結末でした。
知らない方がよかったってこともあるんじゃないでしょうか。
そんな結末でした。

【闇の中の二人】

この作品は悲しすぎます。
被害者がまだ小さい赤ちゃんだということと、
なぜ犯人は殺さないといけなかったのか、ということ。
僕には小さい子供がいますし、もうすぐ赤ちゃんもうまれるので、
かなり後味の悪い作品となってしまいました。

【踊り子】

孝志の純粋な気持ちと、それを応援したい黒田の気持ち。
そして真実を知ってしまった黒田は孝志にそれを告げることができません。
それはそうでしょう。それはあまりに酷というものです。
強いて言うなら、少女にはもうちょっと強い人であって欲しかった…。
それも酷でしょうか?

【エンドレス・ナイト】

最初読んでいる途中までは、厚子のあまりのわがままというか、異常なまでの
大阪嫌いにちょっと違和感がありました。
…が、うーん、なるほど。そういうことでしたか。
でも、そういうことなら、夫婦でもっとよく話し合うべきだったのにと思います。
厚子がちゃんと過去の出来事を話していれば、また違った結果になったのでは、と悔やまれます。
それにしても、この番場という刑事はなかなかに慧眼で驚きました。

【白い凶器】

読んでいると、途中から犯人も動機も分かると思います。
動機の面に関しては少なからず疑問は残るのですが…。
でも、最後の最後、捜査員が目にした光景には驚かされました。
ちょっと背筋がゾクっとしてしまいました。

【さよならコーチ】

この話はあまり好きになれませんでした。
結局は犯人が自らまいた種が原因じゃないの?って思ってしまいます。
なんというか、浅はか過ぎやしないかと。
復讐されても仕方ないんじゃないかなと思いますね。

【犯人のいない殺人の夜】

この作品にはやられました。いい意味で。
物語の進み方からして、怪しいな~とは思ってたんですけどね。
見事にやられました。
そして、読み返してしまいました。
叙述トリックというやつですね。
ただ、犯人に対しては余地は全くありません。

【総評】
短編集ということで、非常に読みやすかったです。
それでいて、それぞれの作品のクオリティはとても高く、結末には驚かされました。
長編をがっつり読みたいという方には物足りないかもしれません。

東野作品の「入門編」としていかがでしょうか。

おすすめ度:★★★★★★★☆☆☆



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2011年5月25日 | コメント/トラックバック(6)|

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    ああ、又やってしまいました…。
    本書は再読です。
    実は再読するつもりではなく、初…

コメント

  1. basil より:

    赤ちゃんが生まれるのですね!
    とても楽しみです♪なぜか私が(^_^;)
    無事に生まれてきますよう、お祈りします。

    先日「鳥人計画」を読み終えました。
    これは面白かったです、色んな意味で。
    やはりもっと東野さんを読みたくなりました。

    • RYOJI より:

      basilさん、ありがとうございます。
      そうなんです。2人目産まれるんですよ^^
      頑張らないと、です。
      鳥人計画はジャンプ競技の奥深さという面でも
      面白かったですね。
      もう一度読みたくなってきましたー^^

  2. 金平糖 より:

    赤ちゃんの誕生、待ち遠しいですね♪
    東野さんの大ファンですが、子どもなどの弱者が犠牲になる作品はどうしても受け入れ難いものがあります。中でも「さまよう刃」は、娘を持つ身には辛すぎるお話でした(T_T)
    本書は、切なく暗い感じの作品が多かった気がしますが、先日読んだ他の作家の作品に「小さな故意の物語」の鏡の件を連想させる作品があり、東野さんの影響力の大きさを感じました。
    試しに、私から、トラバをチャレンジしてみますね。

    • RYOJI より:

      コメント&TB、ありがとうございます。
      >赤ちゃんの誕生、待ち遠しいですね♪
      はい、楽しみです^^

      小さい子供がいるだけに、僕も弱者が犠牲になる作品は暗い気分になってしまいますね。
      本作で言えば、「闇の中の二人」がまさにそうでした…。
      もうすぐ、新刊「真夏の方程式」が出ますね!
      待ち遠しいです^^


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