黒笑小説



 

作品の概要

 

 

黒笑小説

 

2005年4月26日 初刊行(集英社)
2008年4月8日 文庫化(集英社文庫)

 

『もうひとつの助走』『巨乳妄想症候群』『インポグラ』『みえすぎ』『モテモテ・スプレー』
『線香花火』『過去の人』『シンデレラ白夜行』『ストーカー入門』
『臨界家族』『笑わない男』『奇跡の一枚』『選考会』の13からなる短編集。

ある文学賞の候補常連となったベテラン作家の寒川心五郎や
ある出版社の新人賞を受賞した熱海圭介の文壇にまつわるドタバタ劇。

ある玩具メーカーの巧みな戦略に利用される「家族」や、
芸人生命をかけてある笑わない男を笑わす「売れない漫才師」など、
それぞれの章の主人公の苦悩ぶりをクスッと笑せる、おもしろおかしい傑作短編集。

補足情報

2005年4月26日 初刊行(集英社)
2008年4月8日 文庫化(集英社文庫)

登場人物

寒川心五郎(もうひとつの助走、選考会)
ベテラン作家で、某有名文学賞に何度もノミネートされるが・・・

熱海圭介(線香花火、過去の人)
新人作家。某出版社の新人賞を受賞し、すっかり売れっ子気分になる。

川島哲也(臨海家族)
ある玩具メーカーの戦略に利用される。

拓也&慎吾(笑わない男)
売れない芸人。ホテルのボーイを笑わそうとするが・・・。

遥香(奇跡の一枚)
大学生。ある場所で撮影した写真がまるで別人のように美人だった。

感想

タイトルからも想像できるように、『黒い笑い』がテーマとなっています。
13の短編集ですが、その中には関連作品もあり、連作のようになっているものもあります。

特に面白いのが、ベテラン作家・寒川心五郎と新人作家・熱海圭介の物語ですね。
東野さん自身のことを書いてるんじゃないの?と思うような箇所もチラホラ。
今でこそ、超売れっ子作家の東野さんですが、こういう時代もあったんでしょうね。

そして、これが書かれた当時は、東野さん自身も直木賞にノミネートされ続けて、取れなかった時代でしたから、
まさに「寒川心五郎」のような感じだったんですね。
その時に読んでたら、また今とは違った印象を持っていたかもしれません。
少なくとも、今のようには笑えなかったのではないでしょうか。

今でも寒川や熱海のような人は実際にいるのでは、と思いますし、
彼らからすれば、「ケンカ売ってるのか」的な作品かもしれませんね。

この世界に全く関係ないものからすれば、
とてもおもしろおかしく読むことが出来ます。

あと、個人的には「臨海家族」と「笑わない男」はとても面白く読めました。
「臨海家族」はウチにも小さい子供がいるので、ちょっとした恐ろしさも感じております。
これが戦略ってやつなのか~、と思ったり。

東野さんの代表作といえば、やはり本格的なミステリーが多く、
そのほとんどはどちらかと言うと爽快感というよりも「切ない」ものが多いです。
本作もある意味では切なくなりますが。

そういった作品に対して、ちょっと息抜きをしたいなぁと感じたら、
本作を手にとってみてはいかがでしょうか。

クスッと笑って、こういう東野圭吾もあるんだなぁ、と。
ちょっと悪ふざけの「東野圭吾さん」もなかなかいいですよ。

おすすめ度:★★★★★★★★☆☆

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2011年2月24日 | コメント/トラックバック(4)|

カテゴリー:本の感想

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コメント

  1. basil より:

    これって私が今読んでいる「名探偵の掟」の系統ですかね。
    面白そう。
    意外とこちらが真骨頂だったりして??

    ああ~、どんどん読みたい本がたまっていく。
    時間が欲しいです。

    • RYOJI より:

      basilさん、こんばんは^^
      ちょっと系統はちがうかも、ですが、両方とも面白いですね。
      東野さんは元々関西の方なので、こういう「笑い」系がお好きなのかもしれませんね。
      ちょっとバカにしたような感じとか、自分をネタにされてたりとか、
      読んでいても思わずクスッとしてしまうんですよね。
      僕も読みたい本がいっぱいたまっています~。
      毎日更新目指してますので、また遊びに来てくださいね。

  2. momo より:

    今日1月20日は、東野さんの「歪笑小説」発売と「エドガー賞」ノミネート報道で、
    記憶に残る日となりましたね。

    新刊の装丁を見たら「黒笑小説」も読むべきと速攻で読了です。

    文壇界にも「傾向と対策」があり、作家の栄枯盛衰も感じられる
    この本の前半は、「歪笑小説」を読めばもっと詳細に分かるのでしょうね。
    (まだ、届かない)

    私的には、後半の「シンデレラ白夜行」=「野心家シンデレラ東野Ver」が、
    一番コワーイと感じました。

    • RYOJI より:

      momoさん
      コメントありがとうございます。
      歪笑小説は僕もまだ読んでいませんが、
      それまでのシリーズなら黒笑小説が一番面白かったと思います。
      「シンデレラ白夜行」はいかにも東野さんらしい作品だと思いました。


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