真夏の方程式



 

作品の概要

 

真夏の方程式

2011年6月6日 初刊行(文藝春秋)
文庫化未定

 

夏休み。
小学校5年生の柄崎恭平は両親の仕事の都合で
美しい海を誇る玻璃ヶ浦の「緑岩荘」という旅館で過ごすことになった。

一方、湯川も海底鉱物資源の開発計画の説明会に招待され、
「緑岩荘」に滞在することになる。

ある日の朝、港近くの堤防で
緑岩荘のもう一人の宿泊客である塚原正次という男性の遺体が発見される。

塚原は元・警視庁捜査一課の刑事で今は定年退職していた。

当初、堤防からの転落死と見られていたが、
死因が一酸化炭素中毒であることが判明する。

これは事故か殺人か。

予期せぬ事故に巻き込まれた少年・恭平。
環境保護活動に夢中の旅館の一人娘・成実。
旅館の経営が苦しく、廃業を考える成実の両親。
そして、塚原がかつて逮捕した殺人犯・仙波という男性…。

美しい海のある町では一体何が起きたのか。
そして、湯川はある真相に辿り着く―。

「聖女の救済」以来、約3年ぶりとなるガリレオシリーズ待望の長編傑作ミステリ。

補足情報

ガリレオシリーズ第6弾
2011年6月6日 初刊行(文藝春秋)
東野圭吾作家生活25周年 特別刊行第2弾

特設サイトはこちら ⇒ 「真夏の方程式」特設サイト

主な登場人物

湯川学:帝都大学物理学科准教授。通称「ガリレオ先生」

草薙俊平:警視庁捜査一課の刑事。湯川の大学時代の同期。
内海薫:女性刑事。草薙の後輩
多々良:警視庁捜査一課・管理官。亡くなった塚原の後輩。

柄崎恭平:小学校5年生。夏休みを玻璃ヶ浦の「緑岩荘」という旅館で過ごす。

川畑重治:旅館「緑岩荘」の経営者。恭平の伯父。
川畑節子:重治の妻。恭平の伯母。
川畑成実:重治・節子の娘。恭平の従姉弟。環境保護活動にのめりこむ。

沢村元也:玻璃ヶ浦出身のフリーライター。成実と共に環境保護活動をしている。
西口剛:玻璃警察署の刑事。事件を担当する。成実の同級生。

塚原正次:元・警視庁捜査一課の刑事。死体で発見される。
仙波英俊:かつて塚原に逮捕された殺人犯。亡き妻が玻璃ヶ浦の出身。

感想

一気に読み終えました。
とても面白かったです。

ガリレオシリーズでは「聖女の救済」以来、約3年ぶりの新作です。
ファンの方にしてみれば、待ちに待ったガリレオの新作長編ではないでしょうか。

まず率直な感想としては、
「容疑者Xの献身」や「聖女の救済」では見られなかった
今までにはないガリレオの新しい魅力を堪能できたということです。
読んでいてとても心地よく、微笑ましい場面も多々ありました。

ガリレオこと湯川学と言えば、
偏屈で論理的でどんな時でも冷静で淡々としていて、
そして「子供が大の苦手である」というのは有名な話ですね。

本作はある少年と湯川の出会いから始まります。

偏屈で論理的でそっけないのは相変わらずですが、
そんな中でも少年と積極的に交流を深める湯川はとても温かく感じました。

あの湯川がわざわざ自分の時間を割いてまで、
一緒に科学の実験をしたり、図形の問題を解いたり。
こんな湯川は今までにはなかったですね。

湯川のセリフで、「あんな偏屈な少年は初めて見た」とあります。
要するに似たもの同士なんですね。
クスっとさせられました。

初期の頃の湯川に比べると随分と人間味が出てきたなぁと感じました。
湯川もまた成長してるんですかね。
本作の魅力の大部分はそこにあるのかな、とも思いました。

そして、ミステリーの部分でも、僕はとても面白かったと思いますね。
他の方のレビューを読んでいるとミステリーやトリックの部分がちょっと物足りないと
思っている方も結構いるようですが、僕はそんなことはなかったです。

何の関係もなさそうな2つの事件が複雑に絡み合い、
そして驚愕の真相がしっかりと用意されています。

最初、草薙と内海薫のコンビはどうやって絡ませてくるのかな、と思っていましたが、
本作はまったく新しい試みでしたね。

玻璃ヶ浦と東京で、徐々に真相に近づいていく展開はとても面白く、
読む手が止まりませんでした。

今回は内海がかなり頑張ってたように思いますね。

随所に伏線が散りばめられて、
最後にはそれが見事に繋がりました。
「事件の結末そのもの」に関しては、これで良かったのだろうと思います。

切なく、悲しい事件ではあるのですが、感動もありました。

湯川が言った
「忘れないでほしい。君はひとりぼっちじゃない」
というセリフにはじーんと来てしまいました。

湯川の魅力が一段と増した作品でしたね。
おすすめです!

「聖女の救済」を映像化してほしいなぁとずっと思っていたのですが、
「真夏の方程式」の方が映像化には向いてるかもしれませんね。

福山雅治さん演じるガリレオと恭平少年の心温まる交流を
是非ともスクリーンで見てみたいものです。

おすすめ度:★★★★★★★★★☆

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2011年6月9日 | コメント/トラックバック(13)|

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  1. soramove より:

    書籍「真夏の方程式」ひと夏の少年の成長物語

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     今回の事件では、関係者の知られたくない過去と忘れたい出来事が

     キーワードになって…

コメント

  1. こなた より:

    あたしが書き込んだコメントが消えちゃいそうですが。どこにあるんですか

  2. 苗坊 より:

    こんばんは。
    カキコありがとうございました。
    久しぶりのガリレオシリーズ堪能しました。
    大の子供嫌いだったはずの湯川先生が子供とずっと行動を共にするというのが本当に新鮮で2人の絡みは読んでいて面白かったです。
    でも、ずっと一緒にいたのはだいぶ早い段階で湯川先生が気づいていたということですよね。
    相変わらず凄いなと思います^^;
    ラストも良かったです。

    • RYOJI より:

      苗坊さん
      コメントありがとうございます。
      子供嫌いのはずの湯川先生の今回の行動は全部、恭平君の将来を守るため、だったと解釈しています。
      ぎこちないながらも、温かい交流にとてもほのぼのとさせられました。
      ガリレオシリーズ次回作も期待大ですね!


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