マスカレード・ホテル



 

作品の概要

 

マスカレード・ホテル

 

2011年9月9日 初刊行(集英社)
文庫化未定

 

東京都内である3件の連続殺人事件が発生した。
警察の捜査により、第4の殺人事件が都内の高級ホテル「コルテシア東京」で起きる事が判明する。
しかし、犯人もターゲットも不明。
そんな中、警視庁捜査一課の新田浩介をはじめとする捜査員がホテル・コルテシア東京のスタッフに成りすまし、潜入捜査をすることになった。

新田は最も客と接する機会が多いフロントクラークへの潜入を命じられ、その新田の教育係として、優秀なフロントクラークである山岸尚美が選ばれる。

警察官と超一流ホテルのフロントクラークという立場からしばしば対立する2人だったが、様々な「仮面」を被ったホテルの宿泊客とのやり取りの中で、犯人を逮捕したい、お客様を危険な目に合わせるわけにはいかない、という共通の想いからお互いに尊重し合うようになり、徐々に協力しあっていく。

予想だにしない驚愕の結末と、
警察官として、ホテルマンとしての2人の成長がなんとも心地よい、
全く新しい新感覚長編傑作ミステリー。

補足情報

2011年9月9日 初刊行(集英社)
東野圭吾作家生活25周年 特別刊行第3弾

特設サイトはこちら ⇒ 「マスカレード・ホテル」特設サイト

主な登場人物

新田浩介:警視庁捜査一課所属の警部補。潜入捜査としてホテルのフロントクラークになりすます。
山岸尚美:ホテル・コルテシア東京のフロントクラーク。新田の教育係。

稲垣:警視庁捜査一課の係長。新田の上司。
尾崎:警視庁捜査一課・管理官。
本宮:警視庁捜査一課の刑事で新田の先輩。ホテルの客として潜入する。
関根:警視庁捜査一課の刑事。巡査。ホテルのベルボーイとして潜入する。
能勢:品川警察署の刑事。新田とコンビを組む。

藤木:ホテル・コルテシア東京の総支配人
田倉:ホテル・コルテシア東京の宿泊部長
久我:ホテル・コルテシア東京のフロントオフィス・マネージャー。
杉下:ホテル・コルテシア東京ベルキャプテン。
仁科理恵:宴会部・ブライダル課所属。尚美と同期で友人。

片桐瑶子:視覚障害を持つ老婦人。ホテルに宿泊しいろいろ注文を付ける。
安野絵里子:ホテルの宿泊客。ある男性を自分に近づけないよう指示する。
栗原健治:ホテルの宿泊客。ホテルマンに扮した新田に難癖を付ける。

渡辺紀之:ホテル・コルテシア東京で挙式・披露宴を挙げる予定の客。
高山佳子:渡辺紀之と結婚する女性。ストーカーに狙われる。

感想

本作は連続殺人事件を扱ったミステリーでありながら、
その舞台の全てが「超一流ホテルの中」というちょっと特殊な構造になっています。

概要でも触れていますが、
超一流ホテル「コルテシア東京」にフロントクラークとして潜入を命じられた新田刑事と、その指導係を命じられた優秀なフロントクラーク・山岸尚美のやり取りを軸に展開されます。

本作がまず面白いな、と感じた点は、
ホテルにやってくる様々な客と、新田、尚美のそれぞれの思惑が交差したやり取りにあると思いました。

いろんな事情を抱えた客が次々にやってくるんですが、尚美は超一流ホテルのフロントクラークとして、どんな事情があるにせよ、お客様第一という姿勢を貫き、見事な対応を見せます。
もちろん、客によっては毅然とした態度も示します。

それに対し新田は刑事ですから、どんな客にでも容疑者を見るような鋭い視線を投げかけます。
そして、刑事ならではの目、勘で尚美にも見抜けなかった客の秘密を見抜きます。

それぞれのプロとしての仕事ぶりをまざまざと見せつけられます。
そしてそれはとても気持ちよく、爽快です。

しかし、二人はそれぞれの意見をぶつけ合います。

新田には刑事としてのプライド、使命があるし、
尚美には一流ホテルのフロントクラークとしての責任感があります。

相容れない立場の2人ですから対立して当然といえます。

でももちろん対立ばかりではなく、
徐々にその二人がお互いを尊重しあい、協力し合うようになっていきます。

尚美も刑事である新田に助けられる場面があるし、
新田もホテルマンとしてどんどん尚美から吸収していきます。

この過程が読んでいてとても心地よく感じました。

もちろん、ミステリーの部分についてもとても面白く、完成度が高いと感じました。

他の連続殺人事件との関連や犯人はおろか、
誰が殺されるかというターゲットすら不明なんですね。
こういう構成もまた珍しいなぁと感じました。

新田はホテルに潜入しながらどうやって真相を暴くのかな、と思っていたら、
やっぱりキーマンがいました。
新田と当初コンビを組んでいた所轄の刑事・能勢です。

作中では「愚鈍」と表現され、
新田からも当初は全く相手にされていなかった刑事なんですが、
この能勢刑事の本作における存在は大きかったですね。

こういうキャラの使い方は東野さんは上手だなぁとつくづく思いました。
魅力的なキャラを作るなぁと。

そして、先に述べたいろんな客と新田、尚美との
一見何の関係もないようなやり取りの中で、
さりげなく、それでいてしっかりと伏線が散りばめられています。
これが最後には見事に繋がりました。

ここら辺もさすがだなぁと感心するばかりですね。

超一流ホテルの裏側、様々な事情を抱えた客、
新田と尚美がぶつかりながらもお互いに尊重しあい、成長していく様、
そして連続殺人事件に隠された意外な真相。

どれをとっても素晴らしく、とても面白い作品でした。
ページをめくる手が止まらなかったです。

本作は「麒麟の翼」「真夏の方程式」と共に
東野圭吾作家生活25周年 特別刊行第3弾と銘うたれています。

僕の中では、「真夏の方程式」は東野作品の中でもかなり上位に食い込む
面白さだと思っていましたが、
本作「マスカレード・ホテル」はそれにも負けず劣らずの良い作品でした。

比べることは難しいんですけどね。

また、映像化もしやすい作品であることは間違いないですね。
ストーリー展開・ミステリーも秀逸ですし、舞台にもキャラクターにも華があります。

ということで、映像化、切に希望します!
(最近いつも言ってる気がしますが…)

おすすめ度:★★★★★★★★★☆

関連記事
麒麟の翼
真夏の方程式

【新刊情報】マスカレード・ホテル



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2011年9月21日 | コメント/トラックバック(29)|

カテゴリー:本の感想

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  1. マスカレード・ホテル

    *****************************************************

    都内で起きた不可解な連続殺人事件。次の犯行現場は
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  2. マスカレード・ホテル 東野圭吾

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  3. Akira's VOICE より:

    マスカレード・ホテル

    東野圭吾 著 

  4. 「マスカレード・ホテル」東野圭吾・著 | ホテルウーマン奮闘記?

    発売して間もないので、ネタバレ無しの方向で。

    とある一流ホテルで殺人が行われる可能性があることが分かり、
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  5. 東野圭吾『マスカレード・ホテル』

    マスカレード・ホテル

    東野 圭吾

    集英社

    今回は、東野圭吾『マスカレード・ホテル』を紹介します。はっきり行ってミステリーとして面白くなかったというのが正直な…

コメント

  1. 東上かおる より:

    かおるです。
    RYOJIさん! 読み終わるの早すぎです!! びっくりしました。私はいくつもの本を平行して読んでいるので遅いのは当たり前なんですが…。
    今はRYOJIさんのいうキーマンが出てきたところまで読みました。RYOJIさんの感想を読んでその先がすっごく気になりました。今読んでいる本をはやく読み上げて続きを読みたいです~!!
    ちなみに今読んでいるのは雫井脩介さんの犯罪小説家です。

    • RYOJI より:

      かおるさん
      コメントありがとうございます。ご無沙汰です^^
      いや~、早くないっすよ。
      でも終盤は気になって仕方なかったので、
      夜中まで読んでしまいました。
      かなり面白かったと思いますよ。
      ではでは。

  2. JIRO より:

    こんばんわ♪
    初めまして、今年の5月から東野圭吾にハマっています。

    最新刊でたのですね!
    早速、地元の図書館に予約をしました♪
    9人待ちだそうです・・・

    感想からするととても面白そうなので
    楽しみです。

    • RYOJI より:

      JIROさん
      はじめまして。コメントありがとうございます。
      新刊は図書館では争奪戦でしょうね~。
      是非読んでみてください。
      前2作と比べても遜色ないぐらい面白い作品でした。
      一気に読めてしまうと思いますよ^^

  3. 東上かおる より:

    東上かおるです。
     
    やっと、マスカレード・ホテル読み終わりました。すごいですね。すばらしい。
    まさかあそこからすでに犯人の伏線がはってあったなんて。誰も思いませんよね。●●●●●と感動していましたが、結果的にはああいうことだったんですね。読み終わったあとはため息が出でしまいました。

    映像化してほしいですね。私も少しだけキャストを考えてみました。新田は坂口憲二さん。尚美は菅野美穂さん。能勢は小日向文世さん。ホテルに訪れるお客様はそれぞれビッグゲストなんてどうでしょうか? 個人的好みですみません……。

    ※管理人により一部伏字にさせていただきました。

    • RYOJI より:

      かおるさん
      コメントありがとうございます。
      すみません、一部伏字にさせていただきました。(ネタバレだと判断しました。)
      伏線は素晴らしかったですよね~。
      見事に繋がっていましたね。
      僕も最初は坂口憲二さんと思ってたんですが、読み終わってからは伊藤英明さんがいいと思うようになりました。
      尚美は僕も最初から菅野美穂さんのイメージですね。
      ここまで語ってて映像化しなかったら逆にショックですよねぇ。
      なんて勝手なことを言ってみました。

  4. ヒデ より:

    マスカレード・ホテル
    先週読み終わりました。
    率直な感想ですが、チトもの足りませんでした^^;
    赤い指から読み始まったので、そこから悪意⇒秘密⇒手紙⇒化身⇒変身⇒魔球⇒ガリレオシリーズ⇒白夜⇒眠りの森⇒誰が彼女を殺した⇒加賀恭一郎⇒・・・・・と
    ランダムに行ってるのでアドレナリンの上下がハンパないです。
    で、勝手な理由で「物足りなかった」と。
    相変わらず伏線の張り方は素晴らしかったですがね。
    映画も来年公開の「麒麟の翼」の方が楽しみ。
    相変わらず目が離せませね^^

    • RYOJI より:

      ヒデさん
      コメントありがとうございます。
      僕も読む順番は結構バラバラですよ。その時の気分です。
      ただシリーズものは刊行順に読むようにしています。
      東野さんの作風は本当に様々なので、物足りないと感じる方ももちろんいらっしゃるでしょうね。
      読む人によっていろんな感想が聞けて面白いし、参考になります。
      今後ともよろしくお願いします。

  5. ゆき より:

    こんばんわ。
    私も読み終わりました。
    今回も面白かったです。
    「ホテル」という舞台を最大限に生かしてましたね。
    また「ホテル」という舞台だからこその
    物語の面白さもあり読み応え十分でした。
    新田刑事、今までにない人物で彼の粗い部分も
    良かったです。映像化されたら面白そうですよね☆

    • RYOJI より:

      ゆきさん
      コメントありがとうございます。
      面白かったですよね!キャラも舞台もとても魅力的だったと思います。
      映像化への期待が膨らみますよね。
      新田刑事の成長も見てみたいので、またどこかで登場してくれたら嬉しいですね。

  6. 苗坊 より:

    こんばんは。
    こういう形は珍しいですよね。
    警察官がホテルマンに扮するなんてボロが出るに決まっているとハラハラしていたのですが、新田は少しずつ見方が変わってホテルマンらしくなっているのが読んでいて気持ちよかったです。
    尚美も変わっていきましたよね。
    能勢刑事の有能ぶりも素晴らしかったです。
    シリーズ化されるなら、新田と尚美の関係もどうなっているのか気になります。

    • RYOJI より:

      苗坊さん
      コメントありがとうございます。
      新田のホテルマンとしての成長ぶりは読んでいて面白い部分でしたね。
      尚美とのコンビもよかったです。
      シリーズ化してほしいですが、そうそう何度も刑事&ホテルマンは難しいでしょうから、
      新田刑事だけのシリーズでしょうかねぇ。

  7. ノリユキ より:

    こんばんわ。
    初めまして 実は読み始めてすぐの頃、もしかして四人目の被害者は○○さんが狙われているのではないかと思っていました。でもまさかな~と思って油断していたら、この結末です
    今回もすっかり東野さんにやられました。 

    • RYOJI より:

      ノリユキさん
      コメントありがとうございます。
      僕もいつも予想しては外れます。この意外性がたまらないんですよね。
      気持ちよくだまされたいなら東野圭吾さんの作品はオススメですよね。

  8. はる より:

    はじめまして!はるともうします。マスカレード・ホテル読みました。読み始めたらとまりませんでした!!!東野圭吾さんは「使命と魂のリミット」しか読んだことがなかったので他の作品がどうかは分かりませんが、読み終えた後も心がふわふわしてしまいました。途中の色々な場面の話がラストにきて活かされる、その爽快さ。はまってしまいました。他にもおすすめなど教えてもらえると嬉しいです。返事おまちしております。

    • RYOJI より:

      はるさん
      コメントありがとうございます。

      読み始めたらほんと止まらないですよね。
      最後に伏線が全てきれいに回収される快感はたまりませんよね。

      僕のイチオシは「容疑者Xの献身」です。東野作品の中でもNo.1だと思っています。
      ガリレオシリーズ、加賀恭一郎シリーズがやはりオススメですね。
      両シリーズとも刊行順に是非読んでみてください。
      絶対はまること間違いなしだと思います。
      挙げ始めたらキリがないですね~(笑)
      後は、メニューにある「おすすめランキング」を参考にされてくださいね。

  9. はる より:

    こんばんは。

    RYOJIさん、ありがとうございます。

    今、加賀恭一郎シリーズを読みふけっています。
    「卒業」は買えましたが・・
    お財布の心配がありまして・・・
    全シリーズ揃えるのは諦めました(;_;)

    なので図書館の予約待ちです。

    • RYOJI より:

      はるさん
      コメントありがとうございます。
      加賀シリーズ行きましたか!悪意や赤い指など名作ぞろいです。
      是非読破してくださいね!
      それ以外にもガリレオシリーズや、手紙、白夜行など、おすすめがたくさんありすぎて・・・。
      またぜひ感想をお聞かせくださいね。

  10. 神ちゃん より:

    はじめまして。東野圭吾作品にハマって一年になります。
    毎回ワクワクしながら読んでるんですが、今回もよかったですね!

    残りページ数が少なくなってるのに真相が明らかにされないもどかしさ…
    ページ足りるんかな?!とハラハラしながらもその残りを一気に読む楽しさは何ものにも替えがたいですよね!

    まだ読んでない加賀シリーズなど楽しみにしてまーす。

    • RYOJI より:

      神ちゃんさん(でいいのかな?)
      コメントありがとうございます。
      東野さんの作品って本当にラスト数ページでも読めないのが多いですからね!
      僕なんていつも予想とか推理はするんですが当たったことないですよ。
      ページ足りるんかな?ってのはめっちゃ共感できます^^
      加賀シリーズはいいですよ!ハマること間違いなしです。
      では、またお越しくださいね。

  11. ももねこ より:

    RYOJIさん、初めまして。
    今年の夏ぐらいより東野さんの作品にハマりまして、中一の息子と競い合うように読んでいます。読書時間が通勤の電車の中ぐらいしか取れないのでまだ10冊ぐらいですが、こちらのサイトは次は何を読もうかなーというときに大変参考にさせていただいています。
    今回マスカレード・ホテルは息子のクリスマスプレゼントにしたのですが、彼が読み終わるのを待って、昨日私も読み終わりました。白夜行、容疑者Xの献身、手紙なども読みましたが、「マスカレード・ホテル」私の中で東野さんの作品ナンバーワンになりました。何というか、これだけ読後感が爽やかだったのは他にはなかったなと。作品によってはテーマが重すぎたり、描写がどぎついものもあるかと思いますが、そういう点で「マスカレード・ホテル」は主人公二人のプロ意識、成長していく様子等本当に素晴らしく、爽やかな印象を持てました。新田が犯人逮捕をした直後の「だって我々は、ずっと一緒にいたじゃないですか」のセリフ、感動しました~。
    長文失礼しました。
    またお邪魔させていただきます。

    • RYOJI より:

      ももねこさん
      コメントありがとうございます。
      当サイトを参考にしていただいているようで、恐縮です。
      息子さんと一緒に読めるって素晴らしいですね。感想を言い合ったり、楽しみが広がりますね。
      マスカレード・ホテルは爽やかな結末で読後感もとても気持ちよかったですね。
      とても面白い作品だったし、映像化してもいい作品になるんじゃないかと思います。
      こうやって書いているうちに再読したくなったきました^^
      それではまた。

  12. パパパブブレ より:

    はじめまして!昨日ようやく読み終えました(^-^)

    期待以上の力作だったと思いますし、また読みたい作品ですが、一つだけ気になったのが、ワインをコンビニから送ったのは誰だったのか?という事です。全くそれについては触れて無かったので。犯人が雇ったバイトだとしたら(その記載があったなら)納得出来ますが、目撃証言が曖昧と考えると、犯人が送ったとも受け取れます。だとすれば、監視カメラに映ってるでしょうに!!何故警察はその確認をしなかったのか?疑問で仕方ありません。

    あ、因みに能勢さんは、蛭子さんが一番しっくりきます(笑)

    • RYOJI より:

      パパパブブレさん
      コメントありがとうございます。

      鋭い指摘ですねー!
      僕はそこまでは気が付きませんでした。
      再度読み返した時に、注意して読みたいと思います。

      蛭子さんですか!確かにイメージはあってるかもしれませんね!
      映像化になってほしいですよね。


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