おれは非情勤
作品の概要

「6×3」「1/64」「10×5+5+1」「ウラコン」「ムトタト」「カミノミズ」からなる短編集。
非常勤講師の「おれ」がクールに鮮やかに事件を解決する傑作短編集。
他に「放火魔をさがせ」「幽霊からの電話」を所収。
補足情報
2003年に初刊行(文庫オリジナル)
1997年~1999年に「5年の学習」「6年の学習」(学習研究社)にて連載。
※「放火魔をさがせ」「幽霊からの電話」は、「学習・科学 読み物特集」に掲載。
感想
【6×3】
一文字小学校。
女性教師が死体で発見される。
現場にはスコアボードの数字と旗を用いて「6×3」と書かれていた。
といういわゆるダイイングメッセージのようなものがあり、
これを読み解くことが事件解決のカギとなるのですが、ちょっと意外な感じで面白かったです。
【1/64】
二階堂小学校。
おれが担当したクラスで財布の盗難事件が発生した。
そして、1/64の真相とは?
僕らの時代はこんなことはまずなかったですね。
今は当たり前に行われているんでしょうかね。
それにしても「おれ」先生の解決方法はお見事でした。
クールに見えて実はとてもいい先生なんじゃ?と思いますね。
【10×5+5+1】
三つ葉小学校。
前任の教師が事故で死亡し、「おれ」がしばらく見ることになるが、
今回の児童たちはとても行儀が良い。だが、その裏には・・・?
前任教師の真面目すぎる性格が故に起こったことなんですが…。
これはちょっと悲しい物語です。
人間というのは弱い生き物だ、という「おれ」の言葉には説得力があります。
【ウラコン】
四季小学校。
なにやら生徒たちの様子がおかしいことに気付いた「おれ」。
そして、衝撃の事態に遭遇する・・・。
「おれ」先生が最後に言ったセリフがとても印象的でした。
クールな先生ならでは、という感じがしましたね。
【ムトタト】
五輪小学校。
「修学旅行を中止にせよ―」とうい脅迫文が見つかった。
そして、その封筒には「先生ムトタトアケルナ」と書かれており・・・。
この生徒の気持ちはとてもよくわかります。
僕もこんな「おれ」みたいな先生と出会えてたらなぁ、なんてしみじみと思ってしまいました。
【カミノミズ】
六角小学校。
ある生徒が急に倒れた。その生徒は「神の水」と書かれたペットボトルの水を飲んだのだった。
「神の水」の正体がわかったときにはスッキリしましたが、
この犯人の取った行動はちょっと許せないなぁと思いました。
【放火魔をさがせ】
小林竜太、小学5年生。
最近、竜太の町でボヤ騒ぎが相次いでいた。
そこで、竜太は父親と一緒に夜回り当番に回るが・・・。
竜太のお手柄でした。
テストの答案用紙が重要な証拠になるのですが、竜太にとっては皮肉な結果となりましたね。
【幽霊からの電話】
竜太の家に母親と名乗るある女性から電話がかかってきた。しかし、それは母親の声ではなかったのだ。
何人かにも同様に留守番電話に間違い電話が録音されていた・・・。
ごく単純なトリックでしたが、最後はホロリとさせられました。
まさかあのテープがある家族の宝物になるとは夢にも思わなかったでしょうね。
【総評】
とても面白く、一気に読んでしまいました。
短編集で読みやすいというのもあるんですが、主人公の「おれ」のクールさがなんか気持ちいいんですよね。
非常勤講師ということで、熱血教師からはかけ離れた考えの持ち主です。
生徒たちに対してもとても「冷めた」考え方を持っています。
でもその「クールさ」が、読んでいてとても気持ちのいいものに映りました。
クールで淡々としていて、意外と行動力があったりして、
事件の解決方法はとてもお見事というか鮮やかです。
読んでいてスッキリできました。
こういう先生の方が人気が出るのかなぁとも思ったり。
小説のタイトルも「非情」勤ですしね。
これ、途中まで気が付きませんでした。
あと、それぞれのストーリーに登場する小学校の名前にも
ちょっとした作者の遊び心が忍ばせてあります。
こういうの、嫌いじゃないですねー。
今の時代にはこういう先生は受け入れられないかもしれませんね。
だとしたら残念なことですが。
僕はこういう先生、好きですね。
おすすめ度:★★★★★★★☆☆☆
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おれは非情勤、東野圭吾2011年7月25日 | コメント/トラックバック(6)|
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コメント





おはようございます!
夏休みなのに学校で模試に向け補習に参加している東上かおるですf^_^;
おれは非情勤、私ももう一度読んでみました。
「非情」勤、RYOJIさんの総評を読んでから初めて気づきました。そういう事だったんですね! さすが東野さんです。
今は予知夢とある閉ざされた雪の山荘でを読んでいます。
では、また。
かおるさん
コメントありがとうございます。
「非情勤」というタイトルは僕も途中まで気付きませんでした。
こういうところも東野さんはうまいですよね~。
僕はいま、「パラドックス13」を読んでいるところです。
久々の長編なのでとても読み応えがあって面白いです。