さまよう刃



 

作品の概要

 

 

さまよう刃

 

2004年12月 初刊行(朝日新聞社)
2008年5月24日 文庫化(角川文庫)

 

荒川の下流で、長峰重樹の一人娘・絵摩の死体が発見された。
絵摩は着衣を何も身に着けておらず、腕には注射の跡らしきものが多数あった。
死因は薬物乱用による急性心不全だった。

重樹が怒りと悲しみに暮れる中、1本の密告電話によって、絵摩が不良グループに強姦された挙句に殺されたことを知る。

妻も亡くし、一人娘も殺された重樹にはもう何も無くすものがなく、復讐を決意し、不良グループを追う。

娘を残酷な形で殺された父親の復讐劇として、マスコミでも大きく取り上げられる。

大きな反響を呼んだ話題の社会派長篇ミステリー。

補足情報

2004年12月 初刊行(朝日新聞社)
2008年5月24日 文庫化(角川文庫)
2009年 寺尾聰主演で映画化

登場人物

長峰重樹:半導体メーカー勤務。娘と2人暮らし。娘を死に追いやった犯人への復讐を決意する。
長峰絵摩:重樹の一人娘で高校一年生。花火大会の帰りに不良グループ拉致される。

菅野快児:不良グループのリーダー的存在
中井誠:不良グループの一員
伴崎敦也:不良グループの一員

織部孝史:警視庁捜査一課の刑事、強姦事件を担当するが・・・。
真野:警視庁捜査一課の刑事

木島隆明:ペンション『クレセント』のオーナー。
丹沢和佳子:木島隆明の娘で、ペンション『クレセント』を手伝っている。

感想

日本の法律は「復讐」をよしとはしていません。
当たり前ですが、いくら復讐でも人を殺せば、殺人罪に問われます。
それがたとえ、凶悪な犯罪者でもです。

さらに、その犯罪者が未成年だとしたら、どうなるのでしょうか。
未成年だという理由で、名前や顔は公表されず、
ほとんどの人は犯人の顔も名前もしらずに、
この犯罪者は社会復帰してしまうのでしょう。
そして、のうのうと生き続けるのです。

自分が長峰重樹のような立場に置かれたら・・・。
彼のような行動にやはり出てしまうのでしょうか。
葛藤し、悩み、苦しんで、最初は復讐してやる!
という気持ちが強いかもしれませんが、
でもやっぱり実際には長峰のようには出来ないだろうと思います。

それは単に、周りの人間迷惑が及ぶとかそういうのではなく、
そこまでの勇気がないのと、それをしても結局誰も幸せにはなれない、
死んだ人間は生き返らないってことだと思います。

ただ、長峰に共感はできるし、同じ用に行動したい気持ちはあると思います。
これは本当に難しい問題だと思います。

自分で裁けないなら、やはりせめて法で裁ける世の中に
してもらいたいものです。
犯罪者には未成年も何もないのですから。

ちなみに、私も(男の子ですが)小さい子供がいます。
自分の境遇と重ね合わせて本作を読むと、
途中で心が折れそうになります。

描写ははっきり言って、かなりエグイです。
自分の子供が娘なら、読めなかったかもしれません。

おすすめ度:★★★★★★★★☆☆



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2011年2月17日 | コメント/トラックバック(10)|

カテゴリー:本の感想

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コメント

  1. キリン より:

    タイ人のキリンです。
    昨日、このさまよう刃の映画を見ました。
    映画では静か過ぎて、あまりドキドキ感はしませんでしたが、
    クライマックスのシーンには、何気もなく涙がボロボロしました。原因不明です。

    だが、全体とは素晴らしいとは言い切れないのは私の考えです。

    多分、小説の方が面白いのでしょうか?
    映画では登場人物の気持ちが伝わってこないと思いますが。

    • RYOJI より:

      キリンさん
      コメントありがとうございます。
      おっしゃるとおり、僕も原作の方が好きですね。
      映画には映画の良さもありますが、内容が内容だけに・・・。
      結末も映画と原作では違うようですね。
      ただ、主人公の寺尾 聰さんはピッタリだなぁと思いました。

      • キリン より:

        結末は原作と映画では違うのですか?そうですか?知りませんでした。今は一応小説を手に入れましたが、まだ読んでませんが。時間ある時に読みます。^^

        • RYOJI より:

          キリンさん
          コメントありがとうございます。
          映画版はどうしても物足りなさを感じてしまいます。
          やっぱり時間的制約が大きいですかねぇ・・・。
          原作はおすすめです。子供がいる親の身になればこんなにつらい小説は無いですが・・・。

  2. ひな より:

    はじめてコメントします。

    さまよう刃を読み、娘がいたら読めないとおっしゃった気持ちがよくわかります。

    私には娘が2人居るので、読み始め、すぐに絶対に夜一人で歩かせない!と決めました。

    法が厳しくなり、こういう嫌なことが起こらない世の中になればいいですよね。

    • RYOJI より:

      ひなさん
      コメントありがとうございます。
      娘さんがいらっしゃる身とすれば、これほど怖い作品は無いかなと思います。
      描写がかなりえぐいですからね。
      でもとても考えさせられる作品ですよね。

  3. 東洋 より:

    この作品は皆さんがコメントされているように娘を持つ父親には衝撃ですね。
    私も年頃の娘を持つ父親です。
    この主人公「長峰重樹」に共感するところは大いにあります。
    しかし、残念なことにこのような事件は少なからずあるのではないでしょうか。
    ニュース等で明るみに出る場合もあれば、その逆の場合も。
    非常に残酷な事件です。
    だから・・・と言っては何ですが、ストーリーにのめり込めます。
    常に主人公「長峰重樹」側に立った感情で読めますし、自分だったら・・・
    と考えることもあります。
    最期は・・・そうなるか!と思いました。
    しかし・・・世の娘のいる父親は、分かっていても考えさせられる作品でした。

    • RYOJI より:

      東洋さん
      コメントありがとうございます。
      僕にも小さい子供がいて(男の子なんですが)犯罪に巻き込まれたりいじめにあって自殺でもしようものなら加害者を殺したくなるほど憎むだろうなぁと思いますよ。
      このような残酷な事件は本当に許せないですよね。同じ立場に立っても僕に長峰のような行動が起こせるかは疑問ですが、本当に考えされられる作品ですよね。映画化は少し残念な感じがしました。

  4. あやの より:

    こんばんわ。

    去年 手紙 で読書感想文を書くと言っていた
    高校生のあやのです。 覚えてますでしょうか

    また今年も読書感想文を書くことになったのですが
    今年は読書体験記も書くことになりました。

    今年は さまよう刃を題材にして 
    少年法について書いてみたいと思います。

    今年もこのブログを参考にさしてもらいます(*^_^*)

    • RYOJI より:

      あやのさん
      コメントありがとうございます。
      もちろん覚えていますよ。「手紙」の感想文はとても難しいと思いますが、無事に書けましたでしょうか。
      今年はさまよう刃に挑戦されたとのことで、これもまた難しいテーマです。内容も少々キツイ描写等もありますし。
      少年法についてはいろんな意見があると思いますし、本当に難しい問題ですよね。
      読むだけではなく読んで自分の考えを述べることはとても素晴らしいことだと思います。
      今後も頑張って、そして楽しんで読んでくださいね。


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