さいえんす?



 

作品の概要

 

 

さいえんす?

 

2005年12月 初刊行(角川文庫)
※文庫オリジナル

科学技術とミステリの関係、ハイテク犯罪、原発問題などばりばりの「科学」に関するあれこれから、
プロ野球の改革案、本は誰が作っているのか、などちょっぴり科学とはかけ離れたお話まで、元・エンジニアの理系作家が独特の視点でおくる「科学」エッセイ集。

補足情報

2005年12月 初刊行(角川文庫)
※文庫オリジナル

感想

タイトルが「さいえんす?」となっているように、
科学にまつわるお話が中心です。

ちなみに「ちゃれんじ?」同様、タイトルに「?」が付いているのは
著者曰く、「自信のなさの現われ」なんだそうです。

エッセイは本作で3作目になりますが、全2作に比べると、
お堅い内容が多いです。

科学技術とミステリの関係なんかは、読んでてなるほどなぁと思います。
携帯電話が当たり前となった現代からすれば、
「固定電話しかなかった」初期作品のトリックに違和感を感じて当たり前です。
携帯がある今なら通用しないトリックも多いですからね。

東野さんの作品にも当然ながらそういう作品って多いですよね。

また、原発問題についても触れておられますが、
反対派と推進派の会合にて、
「原発で阪神大震災クラスの地震が起きても大丈夫なのか?」
という問いに対し、推進派からは「そんな地震は起きない」という
信じ難い答えが返ってきたことが紹介されていました。

「起きたらどうなるのか?」という問いに対し、
「起きないことを想定しても意味がない」という答えが返ってくるんだそうです。

分が悪い質問は適当にはぐらかし、
議論になることを極力避けようとする姿勢が丸分かりだそうで、
そんな考え方の人々の集まりで原発が動いているのかという現実に、愕然とさせられました。

ハイテク犯罪やDNAの問題、数学離れについてのお話もとても興味深かったですね。
容疑者Xの献身を執筆時に大学の数学科の教授に取材に行かれた様子も書いてあって、
ちょっと嬉しくなってしまいました。

中でも特に気になったのは、
ハイテク技術を駆使した犯罪防止についてのお話でした。

ここでは詳しくは書きませんが、
犯罪防止にはハイテク技術ももちろん効果的なんですが、
あくまでも予防策のひとつとして捉え、それらを過信してはいけないこと。

そして、防犯にはローテクの方が効果的である、という考え方です。

著者が一つの案として挙げられている「書店印」の導入には僕自身は大賛成です。
いい案ではあるのですが、実際に導入しようとなるといろいろ問題があるんでしょうかね。

効率よく防犯を取り入れたい立場の方々に、
「今更ローテクかよ」という考えがあるのかもしれませんね。

また、科学とはちょっと離れた話題も面白かったです。

プロ野球の再編問題は当時、僕らも真剣に心配したものです。
近鉄という球団が無くなり、もしも1リーグ制になってしまったら、
もう日本のプロ野球は終わりだと思っていました。
そもそも球団が無くなるなんて思ってもみませんでした。

東野さんが提案されている案は素晴らしいと思いました。
これが実現すればまたプロ野球も面白くなるだろうな、と。
もう今では実現しそうもないですが、
この新しいリーグ制もちょっと見てみたいな、と思います。

個人的に一番好きだったのは最後に収められていた、
「本は誰が作っているのか」というお話でした。

今まで真剣に考えたことはなかったんですが、
考えてみれば当たり前のことなんですよね。

これを読んだらもう図書館で借りることも
ブックオフで中古を探すこともできなくなりました。

もちろん、それらが「悪」ではないんですが、
ファンと名乗ってるからには、やっぱり新刊が出たらちゃんと買おうと心に決めたのであります。

ちなみに、「流星の絆」あたりから、単行本が刊行されたと同時にちゃんと買ってますよー、
とアピールしておきます。

今後も出たら全部買いますので、
東野さん、これからも頑張っていい作品を書き続けてくださいね!

「科学」というものがまったく受け付けない人でもすっと読めますし、
何よりとてもためになるエッセイ集だったと思います。

おすすめ度:★★★★★★☆☆☆☆



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2011年12月8日 | コメント/トラックバック(3)|

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コメント

  1. 苗坊 より:

    こんばんは。
    えー・・・図書館勤めの私は非常に意見しづらいところではありますが^^;
    でも、利用者で回ってこないと怒る人がたまにいます。
    待つのが嫌なら買え。と思います。
    私は思い切り文系人間ですが、この本は分かりやすくて面白かったです。
    原発問題については覚えていませんが「そんな地震は起きない」だなんて本当に信じられませんね。その考えの甘さが今回の悲劇を招いてしまったのでしょうか・・・
    この世に「絶対」なんてないのに・・・
    この作品を読んで東野さんは改めて理系人間なんだなと思いました。

    • RYOJI より:

      苗坊さん
      コメント&TBありがとうございます。
      僕も最初はずっと中古を買い漁ってましたから・・・。
      この作品はエッセイ集の中でも「まじめな」作品だったなぁと思いました。
      原発問題は今まさにタイムリーな話題ですよね。
      関係者にも是非読んでもらいたいと思いますね。
      理系ならではのエッセイ集、おもしろかったです。


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